上棟祭について
上棟祭は「むねあげのまつり」といいますが、一般的には「じょうとうさい」と音読します。各種建造物の新築工事で、その棟木を上げるにあたり、家屋の守護神と工匠の神をおまつりし、今後長く新しい建物に禍なく、幸があるようにとお祈りします。
弘計王(をけのみこ)(後の顕宗天皇)の室寿(むろほぎ)の詞(新築祝いの言葉)に、「取り挙ぐる棟梁(むねうつはり)は此の家長(いへぎみ)の御心の林なり」(『日本書紀』)とあるのが、棟上げについての初見とされます。それが祭儀になったのは、宮中では平安時代中期以降、伊勢の神宮では平安時代末期から鎌倉時代初期頃とされ、広く一般に普及したのは江戸時代以降とみられます。
上棟祭の祭神は、屋船久久遅(やふねくくのち)命、屋船豊宇気姫(やふねとようけひめ)命、手置帆負(たおきほおひ)命、彦狭知(ひこさしり)命の四柱の神を主とし、これに所在の産土(うぶすな)神をあわせ祭るのが通常です。
一般的な祭儀は、中央の柱に棟札をつけ、梁の上に板などを並べて祭場を設け、神籬を立てます。棟木には上棟幣という大きな幣帛、弓矢の作り物、日の丸の白扇などが飾られ、いずれも魔除けの標しとされるものです。式次第は、屋上の祭場正面に上棟幣、弓矢を飾り、その前に神籬を設けて修祓(お祓い)の後、降神を行います。続いて献饌と祝詞奏上の後、「エイ、エイ、エーイ」の掛け声とともに棟木を棟に上げる曳綱の儀、棟木を棟に打ち固める槌打の儀が行われます。そのとき、「千歳棟(せんざいとう)、万歳棟(まんざいとう)、永永棟(えいえいとう)」と声を発します。そして災禍を祓い除く意味で餅や銭を撒く散餅銭(さんぺいせん)の儀を行い、玉串拝礼、撤饌、昇神の儀によって神事は終わり、直会・祝宴があります。略儀として、棟木をすでに上げておいて祝詞奏上の後、散餅銭の儀を行う場合があります。餅や銭は、東北、西南の方位に撒くことから、方位の神に散供する意味もあり、福をわかつという趣旨もあるとされています。
棟札について
近年、上棟祭を行うことが少なくなりましたが、棟札を希望される方が時々おられます。御嶽神明社では、ご希望の方に棟札をおわかちし、お時間の余裕がありましたら、上棟奉告祭をご奉仕いたしますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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